【働く基本リテラシー②】休日と休暇はどう違う? 会社の休みと法律上の休みを整理する
働き始めると、「休み」は会社が決めるものだと感じやすいかもしれません。
たとえば、
- 土日休み
- 祝日休み
- 有給休暇
- 振替休日
- 代休
こうした言葉はよく出てきますが、実は全部同じ意味ではありません。
しかも、ここをあいまいなままにして働いていると、
- 休日出勤の扱いが分からない
- 有休は「お願い」だと思ってしまう
- 振替休日と代休の違いが分からない
といったズレが起きやすくなります。
今回は、休日と休暇は何が違うのか、そして、なぜ法律が休みを定めているのかを、基本から整理します。
働く時間の基本も、あわせて整理しておきたい方はこちら。
新卒・第二新卒のための「働く時間」入門|法定労働時間・残業代・サービス残業のラインを知る
労働時間の考え方を、働く基本リテラシーの記事で整理したい方はこちら。
労働時間とは何か|始業前・休憩・手待ち時間はどこまで含まれる?
まず大前提|休みは「会社の好意」ではない
働くうえで、休みは「あるとありがたいもの」ではありません。
法律は、働く時間だけでなく、休ませることについてもルールを定めています。
その理由はシンプルです。
人は、働き続ければ疲れます。
疲れれば、判断が鈍り、ミスが増え、体も心も崩れやすくなります。
だから法律は、働き方は、働く時間だけでなく、休む時間も含めて整えなければならないという考え方をとっています。
この発想は、 労働基準法 全体の土台にあります。
休日とは何か|「働かなくてよい日」を会社が必ずつくるルール
労働基準法第35条では、会社は原則として、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないと定めています。
また、例外的に、4週間を通じて4日以上の休日を与える方法も認められています。
やさしく言うと、
会社は、必ず「この日は働かなくてよい日」を作らなければならないということです。
ここでいう休日は、ただ何となく休みっぽい日、という意味ではありません。
法律上は、労働義務のない日です。原則として暦日、つまり午前0時から午後12時までの24時間を1日として考えます。
なぜ休日が必要なのか
休日の本質は、あらかじめ労働義務のない日を確保しておくことにあります。
もし休日を会社の自由に任せてしまうと、忙しい時期には休みが後回しになり、働く人の健康や生活が崩れやすくなります。
だから法律は、個人の頑張りや職場の空気に任せず、最低限の休みを制度として先に置いているのです。
つまり法定休日は、福利厚生というより、働きすぎを防ぐための法律上の最低基準です。
「会社の休み」と「法律上の休日」は同じとは限らない
ここは実務でよく混同されるところです。
たとえば、土日休みの会社を考えてみます。
この場合、土曜日も日曜日も「会社が休みの日」ではあります。
でも、法律上の休日は、そのうちどちらか1日だけとして定められていることがあります。
たとえば、就業規則で「日曜日を法定休日とする」と決めている会社なら、
- 土曜日に働いた → 会社の休みに出たことにはなるが、法律上は法定休日労働とは限らない
- 日曜日に働いた → 法定休日労働になる
という違いが出ます。
どちらも「休みの日に働いた」ように見えますが、法律上は同じ扱いではありません。
つまり、会社のカレンダー上はどちらも休みでも、
その中には、
- 法律上の休日
- 会社が休みにしている日
が混ざっていることがあります。
そのため、休日出勤の話になるときは、
「その日は会社が休みにしていた日なのか」だけでなく、「法律上の休日に当たるのか」まで分けて見る必要があるのです。
休暇とは何か|労働者が取る休み
次に、休暇です。
休日は、会社が最初から「この日は働かせない」と決めておく日です。
これに対して休暇は、本来は働く日の中で、労働者が休む日です。
代表的なのが、年次有給休暇です。
労働基準法第39条は、一定の条件を満たした労働者に対して、賃金を支払いながら休ませる日を与えなければならないと定めています。
一般には、継続勤務6か月、全労働日の8割以上出勤した場合に、原則10日の年次有給休暇が付与されます。
やさしく言うと、
働いている人には、「給料が出る休み」を取る権利があるということです。
なぜ有給休暇が必要なのか
休日だけでは足りないからです。
人には、それぞれ事情があります。
- 体調を崩した
- 家族の用事がある
- 役所や病院に行きたい
- 少し休んで立て直したい
こうした事情があるたびに無給で休むことになると、休みたいのに休めない人が出てきます。
その結果、無理をして働き続けることになり、健康にも仕事にも悪い影響が出ます。
だから法律は、労働者が自分のタイミングで休みを取れる仕組みとして、有給休暇を用意しています。
有給休暇は「お願い」ではない
ここも誤解が多いところです。
有給休暇は、会社の親切で与えられるものではありません。
法律上の権利です。
原則として、労働者が休みたい日を指定して取るものです。
会社には、業務の正常な運営を妨げる場合に限って、別の日に変更してもらうよう求める時季変更権があります。
ただし、これは会社が自由に断ってよいという意味ではありません。
また、実務では就業規則で申請方法や申請期限が定められていることがありますが、そうした手続があるからといって、会社が自由に有休を認めないことができるわけではありません。
やさしく言うと、
有休は「取っていいですか」と許可をもらうものではなく、「この日に取ります」が原則です。
ただし、職場が本当に回らなくなるような場合には、日程調整が入ることがあります。
休日と休暇の違いを一言でいうと
- 休日:会社が「この日は働かなくてよい」と決める日
- 休暇:労働者が「この日は休みます」と取る日
この違いを頭に入れておくと、かなり整理しやすくなります。
休日は、最初から労働義務がない日です。
休暇は、もともとは働く日だけれど、その日を休みに変えるものです。
振替休日と代休がややこしい理由
この2つは、名前が似ているので混同されやすいです。
でも意味は違います。
振替休日
あらかじめ休日と別の労働日を入れ替えることです。
つまり、先に「この休日は出勤日にする代わりに、別の日を休日にする」と決めておく方法です。
代休
いったん休日に働いたあとで、あとから休みを与えることです。
つまり、まず休日労働があり、その埋め合わせとして休みを取る形です。
やさしく言うと、
- 振替休日:先に入れ替える
- 代休:あとから埋め合わせる
という違いです。
ここを一度知っておくと、全部を暗記していなくても、あとで調べるときに迷いにくくなります。
今回のポイントまとめ
- 休日は、会社が必ず与えなければならない「労働義務のない日」
- 休暇は、労働者が取る休み
- 有給休暇は、会社の好意ではなく法律上の権利
- 会社の休みと法律上の休日は、同じとは限らない
- 振替休日と代休は、名前が似ていても仕組みが違う
今回出てきた法律|何を言っているのかをやさしく整理
労働基準法第35条
会社は、少なくとも毎週1回、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
やさしく言うと、
最低限の休みは、必ず制度として確保しなければならないということです。
労働基準法第37条
法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働には、割増賃金が必要です。
やさしく言うと、
長く働かせたり、法律上の休日に働かせたり、深夜に働かせたりするなら、通常より重い扱いになるということです。
だからこそ、何が法定休日で、何が休日労働なのかを分けて考える必要があります。
労働基準法第39条
一定の条件を満たした労働者には、年次有給休暇を与えなければなりません。
やさしく言うと、
働く人には、給料をもらいながら休む権利があるということです。
また、年10日以上の年休が付与される労働者については、使用者に年5日の取得確保義務があります。
労務リテラシーは「全部覚えること」ではない
ここまで読むと、
- 法定休日
- 所定休日
- 休日労働
- 振替休日
- 代休
- 年次有給休暇
と、少し難しい言葉が多いと感じるかもしれません。
でも、全部を暗記する必要はありません。
大事なのは、一度、頭の中を通しておくことです。
そうすると、あとで迷ったときに、
- どの言葉で調べればよいか
- 何が違いなのか
- どこに線を引けばよいか
が分かるようになります。
労務リテラシーとは、全部を覚えることではありません。
違和感があったときに、確認し、調べ、相談できることです。
今回の内容も、今すぐ全部を説明できる必要はありません。
でも、一度知っておくことで、必要なときに思い出し、確かめることができます。
それが、働く上での基本的な力になります。
参考リンク(正式な法令・行政情報)
- e-Gov法令検索|労働基準法
- 厚生労働省|労働時間・休日
- 兵庫労働局|労働時間(休日・振替休日・代休の説明あり)
- 厚生労働省|労働基準関係リーフレット
- 東京労働局|しっかりマスター 有給休暇編
- 厚生労働省|年5日の年次有給休暇の確実な取得
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